おおさかシネマフェスティバル<映画ファンのための映画まつり>で
和央ようかが主演女優賞を取ったときき、正月から気になっていた
『茶々―天涯の貴妃―』を観に行く。
正直、期待はずれだった。
タカラヅカ的芝居から、やっぱり抜け切れてない。
鎧姿で馬で駆けるとこはカッコイイんだが、後の見せ場が続かない。
最後に茶々は大阪城の天守閣もろとも、
壮絶な自爆をする。
それを見て
中村獅童演じる
徳川家康が涙を流すのだが、
ドラマが薄いので陳腐にしか見えない。
史実に基づかないのなら
『ジャンヌ・ダルク』みたいな合戦のシーンも欲しかった。
合戦のシーンで活躍するのは真田幸村率いる十勇士だ。
目指すは家康の首ただひとつと、もう一歩のとこまで追い詰める。
真田十勇士が活躍する映画は、何本かあるが筆者のお気に入りは次の2本だ。
ひとつは、1963年、加藤泰監督の
『真田風雲録』。
監督には珍しいコメディタッチの
ミュージカル時代劇。
<カッコよく死にてえな!>と唄うシーンが印象に残る。
主役は猿飛佐助に扮する
中村錦之助。(当時)
もうひとつはリアルタイムで見てる。
1978年東映は久々の大型時代劇
『柳生一族の陰謀』で大ヒットを飛ばす。そして第2弾
『赤穂城断絶』(両方とも監督は深作欣二)に続き、
翌79年に公開されたのが中島貞夫監督の
『真田幸村の謀略』だ。
(以下、工藤栄一
『影の軍団 服部半蔵』、山下耕作
『徳川一族の崩壊』で文字通りこのシリーズも崩壊。やくざ映画の監督に時代劇を撮らせるシリーズだったかも。)
で、今日紹介するのは中島貞夫監督の
『日本の首領 野望篇』 。
『やくざ戦争 日本の首領』に続く第2弾。(第3弾の『完結篇』まで)
『懲役太郎まむしの兄弟』『863愚連隊』『脱獄広島殺人囚』『狂った野獣』『総長の首』
珍しいATGでの
『鉄砲玉の美学』(PANTA率いる頭脳警察が主題歌)と
底辺で蠢くチンピラたちを描かせたらバツグンの中島監督だが、日本版
『ゴッドファーザー』となると分が悪い。
以後、単純な東映やくざ映画も社会派側面を入れなければならなくなり
ダイナミックさや猥雑さが失われていく。
さて「真田幸村の謀略」の話に戻るが、
猿飛佐助(あおい輝彦)が宇宙人っぽく
火の玉になって空を飛んだり、当時JACの若手だった真田広之もアクションしたりと、なかなか楽しい。
ビックリしたのは
真田幸村(松方弘樹)が徳川家康の首をはねて、それが10メートルぐらい飛ぶところだ。
「柳生一族〜」のラストでも、家光の首を柳生十兵衛が切り落し
「こういった権力者に対する反逆は、本来歴史には残りにくい。」とナレーションでヌケヌケと云ってしまう、史実と違った歴史解釈が
<映画本来のおもしろさ>だ。
で首を飛ばされた家康をやっていたのが
萬屋錦之介。
ここで、はじめの
中村獅童の涙の話に戻る。
彼が泣いてるのは茶々のためではない。
叔父さん(錦之介)である
偉大な時代劇スターと同じ役を演じられた憧憬と尊敬に対する涙なのだ。
このオークションは、終了しました。
中村錦之助 主演の
『武士道残酷物語』のビデオもあるよ。

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