「まだ、俺たちが生まれる前から、世界は血を流しているのさ」
映画
今年最後の試写会『感染列島』に行く。
前半は、快調に飛ばす。
正月明けの当直医、妻夫木聡が風邪の患者を診察したことが、
時間経過につれて、日本崩壊寸前までの
クライシスに変わっていくまでの過程は、
本格的パニック映画の要素満載(必ずオールスターキャストで、グランドホテル形式)で観ていて面白い。
感染を防ぐためのマスクにより、表情が解らず、
目だけで演技しなければならない役者も大変だったと思う。
ところが後半、国仲涼子が倒れるあたりから、お涙ちょうだいものになり、
妻夫木と壇れいの純愛(殉愛?)となると、また
『日本沈没』(樋口真嗣監督)と同じじゃん!となり、
とってつけたラストのHAPPY ENDも首をかけじたくなる。
で、本日紹介は、「感染列島」と同音異義の
『アウトブレイク』 のビデオ。
こちらはマスクでなく顔が見えています。
ダスティン・ホフマン、レネ・ルッソ、モーガン・フリーマン、ケヴィン・スペイシーに
ドナルド・サザーランドと、こちらもオールスターで
エボラ出血熱の恐怖を描く。
監督は、
『U・ボート』のウォルフガング・ペーターゼン。
『ネバーエンディング・ストーリー』、
『ザ・シークレット・サービス』、
『エアフォース・ワン』、
『トロイ』、最新作の
『ポセイドン』と
並べていくと、
ドイツ人のリドリー・スコットってところか?
ところで、「感染〜」の話にもどるが、監督・脚本はピンク四天王のひとり
瀬々敬久さんである。
古い知り合いである、ってかデビュー作
『課外授業暴行』からの大ファンである。
(
「GOOD LUCK JAPAN!」と自らのコメカミを撃つコリア・アーミー出身のジャパゆきさんが、忘れられない。)
グリコ森永事件の顛末を描いた
『獣欲魔 乱行』、円谷幸吉と共に時代を駆ける
『破廉恥舌戯テクニック』、ゴダール風
『猥褻暴走集団 獣』、
秩父困民党事件が現代に甦る
『未亡人 喪服の悶え』、瀬々版
『鉄コン筋クリート』『牝臭 とろける花芯』デビュー以前の16ミリ自主製作
『ギャングよ 向うは晴れているか』と
傑作に
枚挙にいとまがない瀬々監督だが、一般映画に進出してからは、しばらくご無沙汰だった。
前作
『フライング・ラビッツ』も「SLAM DUNK」のくだりしか、クスリとも笑わせてくれず、
一体
どーしちゃたの?と思っていたが、今回は後半の失速はともかく、原作なしのオリジナル脚本でここまで構成する力量はスゴイ。
特に紛争の続くアジアの貧民街からの感染が、日本を破滅に導くのはデビューから一貫したテーマだ。
『課外授業暴行』の主題歌、
PANTAの「バニシングロード」の一節で、
この項を終えたい。
「まだ、俺たちが生まれる前から、世界は血を流しているのさ。バニシングロード。」
オークションしたいひとは、こちらを見てね。
今年の更新は、これが最後です。
2008年度のベストテン
@GSワンダーランド
A片腕マシンガール
B僕の彼女はサイボーグ
Cハッピーフライト
Dザ・ローリング・ストーンズ/シャイン・ア・ライト
Eデス・レース
Fグミ・チョコレート・パイン
Gトロピックサンダー史上最低の作戦
H次郎長三国志
I東京残酷警察
それでは、みなさま。よいお年を…。

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