そろそろ読書の秋とゆーコトで、昨年
(2016年)の秋に出版された
〈古典部〉シリーズの6冊目『
いまさら翼といわれても』を今更ですが読みました。
…ちょっと様子見してしまいました。(^^ゞ
今回の6冊目『いまさら翼といわれても』は、短編6本からなる短編集でした。
同じ〈古典部〉シリーズの中では、4冊目の『遠まわりする雛』に形式が近いと思います。
せっかくなのでこの機会に、ごく個人的な感想を備忘録的に少々。
〈古典部〉シリーズの既刊では、以下

『氷菓』

『愚者のエンドロール』

『クドリャフカの順番』

『遠まわりする雛』

『ふたりの距離の概算』
の5冊がありますが、頭4冊+αがTVアニメの『
氷菓』として2012年(平成24年)に放映されております。

5冊目『
ふたりの距離の概算』からの新キャラ
大日向友子は今回の6冊目『いまさら翼といわれても』には登場しないので、アニメ版以降の物語の続きが気になる人には、今回の6冊目『いまさら翼といわれても』から原作版を読み始めても問題なく話がつながるかと思います。
てゆーか今回の6冊目『いまさら翼といわれても』の3本目の短編『連峰は晴れているか』についてはアニメ版の第18話として既にアニメ化されております。
そんな訳で、アニメ版以降の物語の続きが気になる人には、5冊目の『ふたりの距離の概算』と同様に、今回の6冊目『いまさら翼といわれても』も併せてお薦めかと。

今回の6冊目『いまさら翼といわれても』の短編は、順番に
『
箱の中の欠落』
『
鏡には映らない』
『
連峰は晴れているか』
『
わたしたちの伝説の一冊』
『
長い休日』
『
いまさら翼といわれても』
の6本の内容でした。
シリーズ全体でのキモにあたる短編は、今回の6冊目の中では表題作の『
いまさら翼といわれても』かと思います。
伊原摩耶花の活躍が目立つ『
鏡には映らない』と『
わたしたちの伝説の一冊』は個人的には好みでした。
キャラ別に言うと、伊原摩耶花の活躍が割りと多いのが今回の6冊目の一つの特徴かと感じます。
ここから
ややネタバレあり、注意 !!
以下、各話ごとの感想を少々。
1本目 『
箱の中の欠落』
里志の義侠心に
折木が手を貸す話。
里志は野心さえ抱けば生徒会長職にも手が届くのでは?とも予想しておりましたが、おいらのごく個人的な予想はやはりハズれてしまいまスた。(^^ゞ
2本目 『
鏡には映らない』
伊原摩耶花が折木の過去を推理して暴く物語。
甲が乙にかけた秘密裏の呪いの存在に、全く関係の無い丙の立場の一人だった
奉太郎は気が付いてしまいます。何も知らないその他大勢の丙の立場の者達をも呪いの主体者にさせてしまう、狡猾な呪いでもあります。
奉太郎は里志にも相談して、甲の乙にかけた丙をも巻き込むその呪いを破ります。
しかし結果としては、甲の捨て身の逆撃により、奉太郎一人がその呪い返しを今でも蒙り続ける形で状態が固定されております。そのせいで奉太郎には、これからも数多くの予期せぬ敵が存在し続けることでしょう。
世間が狭くて因襲も深そうな土地柄にも感じられるので、もしかしたら奉太郎は、あの土地ではもう一生日陰者なのかも知れません。
それでも奉太郎としては、気が付いてしまったのに見て見ぬ振りをして後々まで後悔するよりも、遥かにマシだったのでしょう。
何となく「優しい英雄」関谷純を感じてしまいました。
ヒーローは往々にして孤独であります。ヒーローには往々にして守るべき秘密があるものです。「ちょうどいま、いいところだったんだよ」

折木のクセに、伊原にとっては改めて知る奉太郎の衝撃の新事実であります。(^^)
3本目 『
連峰は晴れているか』
内容的にはTVアニメ版第18話の通りなので、個人的な感想は省略。

アニメ版での神垣内連峰
頁数は意外に短かった。フンコロガシとか平清盛とかのアニメ化に際して肉付けされた内容は、原作版にはありませんでした。
30分のTVアニメの尺に収めるには、アニメに馴染ませるためのエピソードの追加もできる余地もあるので、これくらいの頁数がちょうど良いのかも?

個人的にはこの話は超好みであります。
4本目 『
わたしたちの伝説の一冊』
伊原摩耶花が漫研を辞めた事実は既に5冊目の『ふたりの距離の概算』にもある通りですが、その詳しい経緯が明かされた内容でした。
3冊目『
クドリャフカの順番』の頃から既に部内の対立は深刻でしたが、その実情は様々な経路で里志のいる
総務委員会の耳にも届いていたようです。
摩耶花と里志では事の真相が掴めず、折木の知恵を借りるか否か迷いますが、“少し待てば先方から動くはず”と踏んだ里志の読みが当たります。
部長自らが部内で部員を陥れているようでは、そんな部はいずれは部としての体裁が保てなくなるでしょう。
マンガ愛と母校愛の両方に溢れる漫研部員なら、そんな部長は早急に解任して部の建て直しを図るべきかと一般論としては考えます。・・・が、作中の
神高漫研はもはやそんな次元などではないのでしょう。
そんな狭い世界での次元の低い政治闘争にとらわれていたら、何事も芸事は上達しません。伊原は外の世界のより高い次元を志向しているのだと思います。
作中の神高漫研については別に、改めて後日に
河内亜也子先輩についても別に、改めて後日に 
5冊目の『ふたりの距離の概算』において、
千反田さんが伊原の決心を支持していたのも解る話だと思います。
5本目 『
長い休日』
奉太郎の不変のモットー「
やらなくてもいいことなら、やらない。やるべきことなら手短に」の起源が明かされる内容でした。
ハルヒシリーズで言うとキョンの「やれやれ」の口癖の起源が明かされる『Rainy Day』にあたる内容かと。
仏教用語を駆使する
十文字かほさんの家の家業は、荒楠神社。(^^)
かほさんの政治信条は、反レイシズム?
里志は十文字かほさんを苦手としているよーですが、個人的には好感度が高いです。
(中の人は早見沙織)

アニメ版 第20話での十文字かほさん
かほさんは他にアニメ版の第13話にも登場
奉太郎の「長い休日」がもうじき終わるのであろうことを予感させる短編です。
6本目 『
いまさら翼といわれても』
千反田さんの人生にある日突然青天の霹靂が訪れます。
伊原から報せを受けた奉太郎は、里志の助力も得て失踪した千反田さんを見つけます。折木は千反田さんを急かしません。どんな決断であっても、折木は千反田さんの意思を尊重するつもりです。
マリみてシリーズで言うと『未来の白地図』や『あなたを探しに』の辺りにあたる内容かと。
〈古典部〉シリーズはここで終わりでも文学的にはそれはそれで良いよーな気も個人的にはするけど、大人の事情的にはここで終わらせることは多分有り得ないのではないかと。^^;
それに世間の多くの読者からは、この先の展開も大いに期待されるかと思います。
〈古典部〉シリーズは
実写映画版が『氷菓』として11月から公開されるようです。

またこの秋には〈古典部〉シリーズの新刊『
米澤穂信と古典部』も世に出たようであります。
もしもアニメ版の続編を作るのだとしたら、今回の6冊目でTVアニメ1クール分の原作ストックにはなりそうですが、アニメ化するには物語的にはまだやや切りが悪いかとも感じます。
映画版の方は前売り券がgetできたので地元で観て来る予定。

新刊の方は、…個人的にはまた少し様子見をするかも。^^;
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