スピルバーグ監督の映画『
宇宙戦争』が4月10日(金)にTV放映されておりました。
映画『
宇宙戦争』については公開当時の2005年
(平成17年)の夏に劇場で観ましたが、当時UPした感想はある日突然サイトごと消えたので、この機会に再度UPしたいと思います。
『宇宙戦争』の原作は
ロンドンが舞台である。

当時の超大国イギリスが海の彼方の諸外国を植民地にする為に、世界各地でどれだけ残酷なことをしたのかを、当時の英国市民に擬似体験させる為にこの原作が書かれたのだ、と言う説を聞いたことがあります。
この映画『宇宙戦争』は
ニューヨークが舞台である。

だとしたら、今の超大国アメリカが石油目当ての営利目的の戦争の為に、イラクでどれだけ非道なことをしているのかを、今の米国市民に擬似体験させる目的でこの映画は撮られたのではないか?と感じてしまいました。
火星人の機動兵器「トライポッド」の攻撃で木端微塵に砕かれるNY市民は、米軍の機銃で砕かれるイラク人を象徴しているのかも知れないし、
子供を抱えて逃げ惑うトム・クルーズは一般のイラク市民を象徴しているのだと思います。
作中の瓦礫の街は当時のイラクを象徴し、
非道な行為に怒りを覚え戦いに参加しようとするトムの息子は、同じ年頃のアラブの青少年を象徴しているのでしょう。
人の生き血を啜って肥やしにする描写は、米前政権の体質を批判したものだろうし、
その生き血を吸われるかも知れない人達の中に米軍兵士をも含まれている描写には「米前政権が自軍の兵士の生き血をも啜って肥え太っていた」との痛烈な批判なのではないか?と思わざるを得ませんでした。
事前の充分な情報収集が足りなくて自滅する火星人たちは、後先考えずに戦争を仕掛けた米軍のイラクでの末路を、映画の作り手側が愛国心から警告したものなのだと思えてしまいます。
個人的な印象としてはガチンコ『
華氏 911』って感じでした。
マイケル・ムーア監督の映画『華氏 911』は当時の米国政権の政治屋どものア○面がエンターテイメントとしても充分に成立しているユーモア溢れる娯楽作品でもあったのに対して、
この『宇宙戦争』は映像表現の限りを尽くして米前政権をガチンコで批判している社会派映画のようにも感じます。
しかしその分だけ娯楽性は低いと思います。
『
スターシップ・トゥルーパーズ』と違って女・子供・老人をも含む人々を無差別・大規模・残酷に虐殺し続ける描写は、娯楽作品としては「ちょっとどーかしている」と思います。
単に娯楽作品としてなら、あれだけの虐殺描写は必要ないばすだし、
その意味では初めから娯楽作品を目指していないのだろうし、また娯楽作品とは言えないと思います。
もし娯楽作品を目指しているなら、虐殺描写を極力おさえて、もっと派手に火星人とドンパチ戦うべきでしょう。
あそこまで虐殺描写にこだわる辺りに、家族愛以外のテーマを感じざるを得ませんでした。
“当世に対する批判”もまたSFの使命の1つであるのなら、この作品はその使命を充分に全うしている映画だと思います。
その意味ではこの作品には5段階評価で6.0以上をつけても良いと考えます。
しかし娯楽作品としてなら、どう贔屓目に見ても3.0止まりでしょう。
この映画の公開当時の頃に原作の舞台であるロンドンで地下鉄等の同時爆破テロが起ったのは、この映画を現実世界の側から、より迫力を持たせていると思います。

また同じく公開当時の頃に米国本土を襲ったハリケーン『
カトリーナ』の被害とその後の混乱は、この映画を現実世界の側から、より真実味のある作品にしていると思います。
この映画『宇宙戦争』はヘビーなSFが好きな人や社会派映画がOKな人にはたまらない作品だと思います。
個人的には今のところ怪獣映画の頂点にある映画なのではないか?と考えております。
残酷なので子供には薦めないけど、でも超お薦め。

『宇宙戦争』パンフ (A4,横長でした。)
新聞の番組欄には地上波初とかって書いてありましたが、本当なんでしょうか?ちょっと信じられません。
もしそうだとしたら、公開から4年近く経って米前政権がなくなった今頃になって地上波初放送だなんて、日本のTV局は米国のネオコンによっぽどビビってたんだろーなぁ、と思ってしまいました。
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060909 個人的な映画の趣味
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050905 リアル宇宙戦争
前売り半券が未だ残っていたので
後日UPして見た。 →

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