暫らく前から『
ガイア・ギア』(
富野由悠季著 全5冊)を探していたのですが、ネットで地元の図書館にもあることに偶然気が付きました。
本屋でも古本屋でもなかなか見つからなかったので、読むのを半ば諦めかけておりました。^^;
地元の図書館では、開架扱いではなく閉架扱いでしたので、普段は恐らく書庫にしまってあるのだと思います。
そんな訳で一月くらい前に読み終えたので、あまりネタバレにならない程度に感想を少々。
物語の時間軸としては『
Vガンダム』と『
ターンAガンダム』の間に入る頃の物語なようです。
この本5冊は物語の本文だけで、前書きも後書きも,物語自体の解説も殆どありませんでした。(登場メカの図解はありました。) カバーの内側とかに少しコピーが入っていたくらい。こういう形式の本も珍しいかと思います。
個人的には『
閃光のハサウェイ』よりも面白かったっス。もしかしたらアニメの『Vガンダム』よりも面白いかも? …とも感じてしまいました。^^;
メカデザインも文庫版を観る限りでは、『閃光のハサウェイ』よりも力が入っているように思います。
主役メカは『
ガイア・ギア-α』ですが、外見上は『ガンダム』の系譜に見えます。『ガイア・ギア-α』の外見や特徴は『
Ζ(ゼータ)
ガンダム』に最も近いと感じました。
序盤に
モビルスーツの『
ギャプラン』が登場しますが、この時代はモビルスーツとは言わずに“
マンマシーン”と言うようです。
そのマンマシーンのデザインにも力が入っておりました。『ガイア・ギア-α』の量産型『
ガイアス』のデザインなどは秀逸だと(少なくとも個人的には)感じます。

あれだけデザインに力を入れていると言うことは、一部の関係者の間では「アニメ化するつもりがあったのでは?」とも感じてしまいました。
御大の小説で5冊分だから、TVアニメにすれば4クール・1年分くらいにはなるような気もします。







あらすじとしては、
シャア・アズナブルのクローン人間
アフランシ・シャアが、彼を生んだ
(或いは「作った」)組織『
メタトロン』と、
白人の地球逆移民計画や
地球連邦からの地球独立を目論む警察組織『
マハ』との抗争に巻き込まれる物語…、でした。
「自分が何者であるか?」を知らずに育ったアフランシは、「自分が何者であるのか?」を確かめるために、島を出て宇宙に上がり『メタトロン』と合流します。
『メタトロン』でのアフランシは、周囲の期待に応えるために、シャア・アズナブルとして振舞おうとします。
しかし、たとえシャアのクローン人間ではあっても、アフランシはアフランシであり、シャアの記憶と能力は受け継いでいても、シャア・アズナブルとは全く別の人格であります。
『メタトロン』の組織から見れば、アフランシはシャアのコピーに過ぎないのに、アフランシはアフランシの人格にこだわって組織の期待以上にはシャア・アズナブルとして振舞おうとはしません。
「しない」というよりは「出来ない」のかも知れません。
『メタトロン』の組織は、そんな彼にやがて不満を抱くようになります。
ひな壇に登らされ、梯子を外され、下から火を付けられる・・・、そんな“
担ぎ上げられる者の苦渋”が描かれているのだと思います。
また、年若い主君を担ぎ上げ、老獪に世渡りを図る組織の老官僚たちの姿も同時に描かれているのだと思います。(しかしそこはシャアのクローンなので、決して担がれ利用されるだけで良しとはしません。)
『ガンダムΖΖ(ダブル ゼータ)』ではハマーンを担ぐサダラーンの艦長が、『逆襲のシャア―ベルトーチカ・チルドレン』ではシャアを担ぐホルストやカイザスなど、『ガンダム』の小説版ではこのタイプの老人たちが度々登場しております。
予想していた以上に面白かったので、『ガンダム』のシリーズをノベライズ版でも追いかけている人には、多分超お薦めかと思います。
未読で買うか否かを迷っていた人の場合には、まずは地元で図書館を洗ってみるといいのかも?

この『
ガイア・ギア』は、
ラジオドラマが
CD化されているようなのですが、店頭とかでも実物は見たことがないのぉ。

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100円ガシャポンのギャプランの画像を後年UPしてみた。

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