先月の地震で本棚が倒れた際に、昔読んだ
手塚治虫の著書『
ガラスの地球を救え 二十一世紀の君たちへ』が出て来ました。
この本は、活字の本としては事実上の
絶筆でもあり、
手塚治虫の最後の活字本なのではないでしょうか?
こんなご時世なので、この機会に改めて読んで見ました。
20年以上前の本ですが、この本は今の時代にこそお薦めかと思います。
今の時代に改めて読んで見ると、20年以上も前の段階で今のネット社会やその問題点をかなり言い当てていると感じます。

情報過多の社会にあっては、
リテラシーの必要性や「どんな情報が最も大切なのか?」についての氏の考える答えが明確に語られております。
また、自身の子供時代や戦争体験を語る中で、戦中派世代(特に、比較的に安全な場所にいた人達)が今の時代に陥りがちなある意味での深刻な倫理的問題点も指摘している点は、戦後派世代としては興味深い所です。
最終章ではこの先数十年の21世紀についても故人の予想・予測が述べられており、その点も今後の数十年の時代についての1つの示唆にもなっていてると感じます。
震災後の“いわゆるネット上のデマ情報”とか“いわゆるエラい人達”の言動とかを考えると、この本は震災前よりも
震災後の今の時代にこそ改めてお薦めかと思います。
己の利権や立場,欲得を抜きにして、子供たちに本当のことを語ってくれる大人や先人,古人は世の中には他にも沢山いると思います。
勿論今の心ある著名人の方々は、今でもジャンルを問わず多々発信していると思います。
しかしそれらの多くは往々にして、専門的過ぎたり、言葉が難しかったり、長すぎたり、昔過ぎて時代に合わなかったりすることも多々あると思います。
逆に、己の立場や欲得で他人を利用するために、子供や若者に本当のことを語らずに嘘偽りを吹聴するようなエラい人も世の中には(少なくとも過去には)いるよーですね。この本を読む限りでは個人的にそんな感想を抱きました。
その点、この本の優れている所は、長すぎず、難しすぎず、専門的すぎず、昔すぎず、一冊の本としても大変にコンパクトにまとめられている点だと思います。
小学生にも読めそうな平易な文体で、
深い内容が分り易く書かれていると感じます。

特に20世紀には未だ子供だった21世紀の今の大人世代、親世代、或いはそれ以上の世代にも、今改めてお薦めかと。
少なくとも今の
御用学者や御用評論家(或いは何処ぞのエバリ腐った権力者)のヨタ話とかを聞かされるよりは、よっぽどお薦めだとおもいます。超お薦め。
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ちなみに、うちにあったのはこっちの古い版の方であります。

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