広島の原爆を描いた文学作品、
井伏鱒二の『
黒い雨』を読んだ。
活字版『
はだしのゲン』って感じ?(ただし『黒い雨』に比べて『はだしのゲン』の方が時代的には少し後の作品のようですが。)
今の
原発利権たちが招き寄せた今後の
新しい放射能時代への
サバイバルブックの1つとして、今のうちに放射線や放射能による
原爆症の様々な実例に目を通しておこうと思い立って読んで見ました。
今の原発利権たちは今回の原発事故について、分っている事実のうち自分達に都合の悪い事実についてはなるべくなら発表しないようにしているのではないか?とも思えて大変に不安です。
このごく個人的な私の勘ぐりが、もしも事実としてごく僅かでも的中しているようなら、それは大変に恐ろしいことだと思います。
ただ、サバイバルブックとしてのみの目的で読んだにしては、文章が美しくてビックリしました。その文章の美しさは私にとってはまさしく“
想定外”でした。
原爆症についての様々な実例が紹介されており、どんな人が助かりどんな人々が助からなかったのかや、戦後数年経ってから発症する例なども描かれておりました。
また、当時の食生活や広島の世情についても詳しく描き出されております。
今の時代としては文体がやや古くて読むのに少々難儀をしましたが、大変に美しい文体だと思います。

ただし、その美しい文体で描かれている内容はまさに地獄そのものであります。


文体の美しさゆえに人(特に子供)にも薦めたいのですが、
その凄惨な内容ゆえに人(特に子供)には薦めにくいかも。
ただし大人なら(ちょっと長いけど)一度は読むべき本かとも感じました。
広島に何らかの縁のある人になら特にお薦めかと思います。
作家井伏鱒二については個人的には昔『山椒魚』を読んだだけで長らく挫折しておりました。太宰治の『富嶽百景』に登場して来る太宰の尊敬する先生と言う印象しかありませんでした。
しかしそんな認識はこの『黒い雨』で一変してしまいました。…勉強不足でした。
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