今期の深夜5分アニメ『
ヤマノススメ』に今個人的にハマっているので、この機会に年末年始に読んだ『
八甲田山 -死の彷徨-』についても触れてみたいと思います。
太宰治の『津軽』を読んだ時に、青森県つながりでこの『八甲田山 -死の彷徨-』も読んで見たいと以前から思っておりました。
ヲタ的には、軍ヲタ,歴ヲタ,鉄ヲタ,等々の方々には、お薦め度は高いかと。
作中でも行軍中に足を挫いた隊員が1名だけ鉄道で先に連隊本部に戻る描写があるなど、当時の青森県内の鉄道路線についても所々で触れられているので、鉄な人にも割りとお薦めかと。
また、ハイカー,特に冬山登山をする方々にとっては「お薦め」、と言うよりは「必須」な小説ではないでしょうか。
とにかく体の凍える本でした。読んでいるだけでも体温を奪われて行くかのような内容でした。
冬山・雪山の寒さの描写には凄みを感じました。
個人的には、真冬に読んだのが失敗でした。読むのなら冬より夏の方が良かったのかも…。
あらすじとしては、日露戦争前の明治35年(1902年)に、冬の八甲田山系を2つの部隊が同じコースを各々逆周りで踏破しようとする物語です。
命がけの雪中行軍ですが、一方の部隊は踏破に成功し無事生還を果たしますが、もう一方の部隊は遭難し惨状を極めて殆ど全滅に近い状態に陥ってしまいます。
踏破に成功した隊が何故成功して、失敗した隊が何故失敗したのか?
運の要素も多分にあった旨を作中では成功した隊の登場人物を介して語らせておりますが、
と同時に、成功した方には成功するだけの理由が、失敗した方には失敗するだけの理由が、作品全体を通して描かれているのだと思います。
この両方の隊を比較評価で総括している点は、今日の冬山登山関係者以外の一般の方々にも、大いに教訓となる所ではないでしょうか。
この本の「あとがき」によると、雪中行軍の日本兵が作者の方々の夢に出て来たそうですが、そんな「あとがき」を読んだからでしょうか? おいらも2,3日続けて夢に見てしまいました。
今年の初夢だったかも。
そのくらいに,夢に出るくらいに、雪中行軍とその遭難が、強烈に印象に残る文章でした。
人様には一読をお薦めいたしますが、自分ではもう二度と読みたくないです。・・・また夢に出て来てしまいそうなので。(>_<)
おいらは「海より山」,「漁師より猟師」,「マリンレジャーより山歩き」な人ですが、この本を読んで「冬山登山だけはするまい」と固く心に決めました。
『八甲田山』の映画版
(1977年,昭和52年)は個人的には未見ですが、

この本を読む限りでは、雪中行軍の命を奪う寒さ冷たさについては、壮絶な映像になっているのだろうと容易に予想出来るので、
もし映画版を観るのなら、真夏の暑い時期に観ようと考えております。(^^ゞ


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