昨年邦画『
あゝひめゆりの塔』を観た流れで、
石野径一郎の『
ひめゆりの塔』の原作版を年末年始の休み中に読みました。
この機会にあまりネタバレにならない程度にごく個人的な感想等を残しておきたいと思います。
前に観た映画版とは内容がだいぶ違っている印象を受けました(特に校長の描かれ方がだいぶ違いました)。
原作の小説版の方がよりお薦めだと個人的には思います。
少女小説としては、今風に言うと『
マリア様がみてる』テイストに溢れてはおりますが、むしろ戦前の『
乙女の港』の方に近いかも。“『乙女の港』の沖縄戦編”って感じ?
少女小説風ではありますが、戦記モノでもあるので“軍ヲタ”にも充分にお薦めな小説かと思います。
セクハラ絡みな殺人事件が描かれているのは、個人的には予想外な展開でした。
推理小説っぽくもあるのかも。
個人的には何となく栗本薫の『優しい密室』を思い出してしまいました。
鷗外の『
雁』もある意味でとてもエグい作品ではありますが(ある腐れ官憲の卑劣さがエグい作品ではありますが)、この『ひめゆりの塔』はそれ以上にエグい話だと思います。
軍国主義がいかに“女の敵”で有り得るのかが描かれているようにも感じました。
女性の場合は我が身を守るためにも、若いうちにこれらの作品には目を通しておく方が良いような
(男のおいらが言っても余計なお世話ですが) 気もしてしまいました。
小説である以上は、この作品に描かれている内容が、必ずしも全くの事実通り・史実通り・戦史通り、ということではないとは思います。そこは踏まえて読むべきかとは思います。
しかしながら“当らずも遠からず”という所なのではないでしょうか。
この小説は少女小説でもあるとは思いますが、大半の登場人物が生き残れないお話なので、読むのが辛い作品かも知れません。が、できれば読んでおくべき本なのではないかと思います。
おいらは東京の育ちなので、登場人物の中では吾妻教諭に最も共感してしまいました。
べらんめえ調になるとぶっちゃけちゃう東京弁の人って、おいらの周りには今でも割りと多いような気もするので。^^;
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