そろそろ読書の秋ということで一冊、約150年前の昔のフランスのSF小説
ジュール・ヴェルヌ作の『
地底旅行』を角川文庫版で読んで見た。

SFとしてはかなり最初期の作品なのだそうです。
ここ暫らくは個人的にSF小説づいていたので、たまたま家にあったSF小説の最初期のものを1冊読んで見ました。
ジュール・ヴェルヌの作品については個人的には子供の頃に『十五少年漂流記』を読んだことがあるくらいでした。(でももう内容はほとんど覚えておりません。)
この機会にあまりネタバレにならない程度に、ごく個人的な感想等を備忘録的にUP。
(色文字部分は後年追加分)
初めにあらすじを少しだけ。
ハンブルグのケーニッヒ街に住むヨハネウム学院の鉱物学者
オットー・リンデンブロック教授は、16世紀のアイスランドの学者
アルネ・サクヌッセンムの書いた暗号文を偶然入手します。
その暗号文を手に入れた教授は、彼が既に成し遂げていたであろう地球の中心への旅を自らも成し遂げるべく、すぐに行動に移ります。

甥の
アクセルは不本意ながらもその暗号文が解読できてしまい、教授の無謀な探検に当然のように巻き込まれてしまいます。“巻き込まれ型”の主人公でもあります。

アイスランドの現地で雇った無口で頼れる案内人
ハンスとともに地底探検に臨み、教授達は数多くの大発見をするのですが…、
アルネ・サクヌッセンムは当時の教会によって“異端”とされた為に彼の著作は全て焼かれ、彼の発見や業績は失われております(・・・という設定です)。

作中では彼は自らの発見や業績をわずかな暗号文に託して隠さざるを得なかったようであります。

教授はその約300年後に彼の暗号を辿って地中深くに乗り込んで行きます。
中世のキリスト教が魔女狩りや宗教裁判の手段をもってして科学者たちをも弾圧した為に、中世ヨーロッパではいかに科学の進歩が遅れたか?という歴史的な事実がこの物語の大前提になっておりますが、
この大前提は宗教的な歴史が全く異なる日本人には体感では殆んど理解できない所かと思います。この点は日本人的には、この物語を理解する上での1つの留意点かと思います。

地上に戻って来た教授達が“魔女狩り”を恐れてか迷信深い人々に対して難船者のフリをするのもその為です。
物語的には超ハッピーエンドではありますが、彼らの冒険の旅が成功したのか否か?についてはネタバレになるのでここではもう触れません。
地底の巨人たちの謎については投げっぱなしなような気も・・・。(^^)
この冒険物語をもっとまったりのんびりさせると『ムーミンパパの思い出』や『ムーミンパパ海へ行く』になるよーな気が何とな〜くしてしまいました。
この物語は1冊の本としてはとても読み易いと感じました。
H・G・ウェルズの『
宇宙戦争』や『
タイムマシン』よりもずーっと読み易かったし。


内容的にも今の時代的にも本としては割と充分に面白くて今的にもまぁまぁお薦めかと思います。
この物語は約150年前の“最新”の科学的知見に基いて書かれているのだとは思いますが、今の時代的にはその知見に矛盾点も多々あるかも。それらの点は古典的なSFに接する際の1つの留意点かとは思います。
お薦め対象としては、登山好きの人や洞窟好き・鍾乳洞好きの人,アウトドア系の人にはお薦めかと。

高校の部活に喩えて言うと、体育会系では山岳部や登山部,ワンゲル部等、文化会系では科学部や地学部,地歴部系の方々には割とお薦めかと。
リンデンブロック教授のような押しの強いイケイケな人って、高校や大学の先輩とかにはよくいるタイプだよなぁ、とかって思ってみたりなんかして。
てゆーか、おいらもほんの少〜しそーだったかも。(^^ゞ
コペンハーゲンからレイキャビックへの船旅や当時のアイスランド国内の様子も前半部分では描写が細かいので、往時のアイスランドに興味のある人にもお薦めかも。
うちにある『地底旅行』の文庫本のカバーは映画『センター・オブ・ジ・アース』の表紙ver.でした。
洋画『センター・オブ・ジ・アース』(2008年,H19)についても後年GyaO!での配信
でチェックしていたので、この機会に一応ごく個人的な5段階評価&感想等を少々。
面白さ 3.0〜3.5 前後
お薦め度 3.0〜3.5 前後
夏休みの子供向け映画って感じ?大人向けと言うよりはファミリー層向けかと思う。毒にも薬にもならない感じ?




ヴェルヌの原作版を映画の脚本用に、登場人物等を再構成させた内容でした。
宗教的な背景を省略した上に、映像で魅せることに拘った中身なので、文字媒体の原作版よりも現代的で万人向けかと。
映画としては、特に大傑作と言う訳ではありませんが、決して悪くはないと思います。
映画版を楽しめた人には、ヴェルヌの原作版もお薦めかと。
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