Polydor Japan MG-2021 LP
全集からの分売である。演奏は例の如く骨太な演奏で在るが、適度に柔軟性が在り、楽団も優秀なので聴き応えが在る。35番から聴いてみよう!これは「ハフナー」と言う呼称が在るが、冒頭の和音は、どう聞いてもベートーヴェンである。まるで、コリオラン序曲の様に始まる。響きも重厚でテンポも遅いが晩年の演奏と違い、音楽は前に進む。それも一つ一つの音を念を押して進むので尚更重厚になる。表現もストレートで颯爽としているのが好ましい!第2楽章は、品格が在り、何処と無く高貴である。それは第3楽章にも継承されており毅然とした印象を受ける。終楽章はプレストだが、それ程急速なテンポを取らないので安心して聴ける。だが内面に燃える情熱が凄く徐々に熱くなる。終止部も立派である。32番の交響曲もカップリングされている。演奏の傾向は、前者と変わりは無い!躍動感溢れる表現が好ましい!次は、38番事「プラーハ」である。これは2度目の録音だが、楽団がベルリンフィルで在る為か、一瞬、ベートーヴェンの2番の交響曲を聴いている様な錯覚を受ける。内性部も充実しており質実剛健な演奏だ!しかしアレグロに入ると厚い雲が晴れてきた印象を受け、モーツアルトを聴いているんだと気が付く、そんな印象だ!もう少し勢いが在ればと思うが音楽は流れている。木管の色彩感が素晴らしい!第2楽章は、情感豊かに進む。ここでも内性部が充実しているので、より構成が明確になる。引き締まった表現ながら優美でも在る。終楽章である。落ち着いたテンポ設定ながら勢いがある。これ程充実した終楽章も在るまいと思う程だが、聴き終わると結局大事なのは音楽は造型だと言う事に納得する。

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